レスリング選手

【濱口奏琉】現役レスリング選手×プロMMAファイター。腹を括り格闘技に人生を捧げる。

昨今、レスリングからMMAに転向する選手が増加しました。RIZINやUFCなど世界のトップクラスで活躍する人も多くいます。

そんな格闘技界で、現役レスリング選手兼プロMMAファイターとして活動する人をご存知でしょうか。それが濱口奏琉さんです。

大阪体育大学のレスリング部に所属し、西日本学生新人戦優勝をはじめ、レスリング選手としても成績を残しています。

そんな濱口さんに、レスリングとMMAを並行して取り組む理由や、ハードワークをこなす原動力などについてインタビューしました!

濱口奏琉さんのプロフィール

  • 大阪府出身
  • 大阪体育大学浪商高等学校 卒業
  • 大阪体育大学 在学中
  • フルコンタクト空手 国際大会2連覇
  • 2021年西日本学生新人選手権 優勝

柔道・極真空手のエリートがレスリング・MMAへ転向。きっかけはコナー・マクレガー。

ーーー濱口さんのこれまでの経歴を教えてください。

空手時代の濱口奏琉さん
空手時代の濱口奏琉さん

中学では柔道と極真空手、高校では極真空手とレスリングに取り組んでいました。そして、大学からはレスリングとMMAを並行してやっています。

柔道では大阪府の強化指定選手に選ばれ、空手ではジュニアの国際大会で2連覇しました。
レスリングは高校で近畿大会3位、大学では西日本新人戦で優勝・インカレ5位が今のところの主な成績で、MMAではDeepのフューチャーキングトーナメント優勝、現在のプロ成績は3勝1敗です。

ーーー空手にレスリング・MMAといろいろ取り組まれているんですね!レスリングはどのようなきっかけで始めようと思ったのでしょうか?

柔道の寝技の練習をする中で、同じく寝技があるMMAに興味を持ち始めました。

ちょうどその頃、UFCでコナー・マクレガー選手が活躍しているのを見て「めっちゃカッケェ!」と本格的に総合格闘技への憧れを持ち始めたんです。

総合格闘技をやるのであればレスリングのスキルは必須だと思い、高校からレスリングができる進路を探し始めました。中学の柔道の先生が浪商の西尾先生と繋がりがあり、浪商でレスリングをさせていただくことになったのがきっかけです。

MMA初陣「フューチャーキングトーナメント」での優勝がきっかけでプロへ。誰もやったことのない現役レスリング選手×プロMMAファイターへの挑戦。

ーーー先ほどMMAをレスリングと同時並行で取り組み、Deepフューチャーキングトーナメント優勝とありましたが、そもそもMMAはどのようなきっかけで始めようと思いましたか?

Deepフューチャーキングトーナメントで優勝すつ濱口奏琉さん
Deepフューチャーキングトーナメントで優勝する濱口奏琉さん

一番は憧れですね。

とはいえ、最初に掲げていたビジョンでは、レスリングで成績を残してからMMAに転向する予定で、並行するつもりはありませんでした。

だけど、色々な縁があり、ポンッとフューチャーキングトーナメントに出場させてもらうことになったんです。そこで優勝し、ありがたいことにプロ転向の話をいただいたので、レスリングと並行しながらMMAも本格的に始めることにしました。

ーーー強い!(笑)。レスリングとMMAはそれぞれどのような練習頻度で取り組んでいるのでしょうか?

レスリングは週に5回練習しています。MMAの練習で午後の全体練習に参加できない日もあるので、そういった時は誰かにお願いして朝にレスリングをしたり。みんながやってる全体練習に参加できなければその分は自分でカバーするようにしてます。

MMAは打撃が週2回、あとは寝技に充てています。レスリングとMMAは半々ぐらいですかね。

周りにジムが少なく、一つの場所で全ての練習ができないので、空手の先生や柔術の人にお願いして、色々なところへ行ってます。

「今日は柔術、明日は空手、明後日はレスリング…」と、日ごとに分けて練習したり、「朝はレスリング、夕方はレスリングの後にMMAの練習」と、1日の中で分けて練習したりする日もあります。

大学も通いながら時間を見つけては練習するような感じなので、結構ハードワークではありますね(笑)。

ーーーすごいハードですね…。現役レスリング選手×プロMMAファイターの前例はないと思いますが、プロになった時点で「レスリングの試合に出るのはやめよう」などと思うことはなかったのでしょうか?

レスリングをする濱口奏琉さん

昔から2つの競技を並行していたので、レスリングとMMAの両方ともやることについては自分の中で違和感がありませんでした。

しかもMMAのプロファイターでありながら同時にレスリング選手として成績を残している人って現状いないじゃないですか。そういった、誰もやっていないことをやりたいと思ったんです。

高校入学前から浪商の監督には「MMAに転向するかもしれない」という話はしていたので、改めて「MMAでプロとしてやりたい」という話をしに行った時もすぐに了承してもらえました。

現在はスポンサーとして浪商学園にバックアップしていただいています。学校がスポンサーのMMA選手もおそらく僕が初めてだと思います。

プロとして一敗もできない重圧・プレッシャー。それさえも楽しみ、自分を奮い立たせる。

ーーーMMAの試合に出場する時とレスリングの試合に出場する時で、気持ちの面などで何か違いはありますか?

インタビュー中の濱口奏琉さん

気持ちの違いは特にないですね。

でも、プロは一回負けることによるその後の影響がものすごく大きくて。それこそ試合がなくなることもあります。そういった意味ではレスリングの方が少し気楽かもしれないです。

あと、レスリングはプロより試合数も多いので、試合へ向かう時の気持ちの作り方などが練習できて、それがすごくプロの試合にも繋がりますね。もちろん、どちらも負けたくない気持ちでやってます。

レスリング歴が浅いので技術的に他のレスリング選手に劣る部分もありますが、自分の強みは気持ちの強さかなと思います。前に出続けるところやがむしゃらなところはレスリングにもMMAにも活きています。

ーーーちなみに、MMAの試合前ってどんなことを考えているんですか?

インタビュー中の濱口奏琉さん

試合までの過程では、試合後に楽しみにしていることを考えてモチベーションにしてます。終わったら焼肉行こうとか、友達とパーッと遊ぼうとか(笑)。

試合直前は結構気持ちがたかぶるタイプです。「やったんぞー!」みたいな。恐怖はなくて、むしろ楽しんでますね。

弟はレスリングでアメリカ留学。刺激を与え合って互いに高みを目指す。

ーーー話は変わるのですが、濱口さんの弟はアメリカでレスリングをしていると伺いました。濱口さんにとって弟はどのような存在ですか?

濱口奏琉さんと濱口来音さん
写真左:濱口奏琉さんの弟濱口来音(らいお)さん

弟の来音(らいお)は、今年の8月からアイオワ州にある大学に通っています。

アイオワ州は結構田舎で日本人もいないような場所ですが、現地の子たちと一緒の授業を受け、レスリングをしています。

自分もトレーニングのためにオーストラリアの日本人がいないような地域にひと月ほど滞在した経験がありますが、大変なことがたくさんありました。そんな環境へ飛び込むことを決めた弟をめっちゃリスペクトしています。

弟とは定期的に電話をして刺激を与え合っていて、自分が怪我をして落ち込んでいる時や、「あかんなー」って時に、頑張っている弟の声を聞くと気持ちを奮い立たせることができます。

将来の夢はUFCチャンピオン。2024年はレスリング全日本表彰台、MMAは全勝を目指す。

ーーーここまでの話を聞いて相当な覚悟を持ってMMAとレスリングに取り組んでいると感じました。何が濱口さんをそうさせているのでしょうか?

インタビュー中の濱口奏琉さん

レスリングはMMAで強くなるために始めました。その時点で腹を括っていて「俺はこれでやっていく」と決めています。

決心がついてからは「みんなが勉強する分、俺は練習する」「みんなが就職活動をする分、俺はいろんなジムや海外に行って将来の道を探る」という感覚が身に付き、格闘技に対して覚悟を持てるようになったんだと思います。

あと、純粋に格闘技が好きですね。朝起きて一番に確認するのも格闘技の情報だし、お風呂に入っている間に観るのも格闘技の動画です。頭の片隅にいつも格闘技のことがあって、自分の生活が常に格闘技と共にあるような感じです。

それに、家族の存在も大きいですね。自分も家族のことが大好きだし、家族もいつも自分のことをすごく応援してくれます。一番応援してくれる家族に応えたいという気持ちもすごく大きいです。

ーーー最後に濱口さんの今後の目標やビジョンを教えてください。

レスリングでは大学の全国大会や全日本で表彰台に乗ることが目標です。2023年はレスリングで成績が残せなかったので、来年は「自分はレスラーだ」と言えるような成績を残したいです。

そこでやっと胸を張って「MMAとレスリングの二刀流だ」って言えると思うので。そのためにも頑張って、全国の表彰台に立ちます。

MMAでは2024年は絶対無敗。なおかつ、2025年には海外やもっと大きい世界でチャレンジしたいと思っています。そこに繋がるいい勝ち方をしたいです。

最終的な目標は昔から変わらず、UFCチャンピオンになることです。

濱口奏琉さんのSNSアカウント

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